長年バラトレ に取り組んでくれているヴァイオリニスト荒井あゆみさん。
バラトレとの出会いとメリットについて語ってくれました。
荒井あゆみ様 プロフィール
横浜市在住
M.ブルネロ氏が音楽監督を務めるイタリア・カルテット・フェスティバルに2年連続で参加。世界遺産プラハ・クレメンティヌム礼拝堂やフランス・エヴィアンでの演奏会などヨーロッパ各地での演奏を行なっている。日本では、自由が丘クラシック音楽祭を始め各地での演奏やリサイタルを開催している。現在、ヤマハ音楽教室認定講師、神奈川県立川和高校室内楽部嘱託インストラクター。日本弦楽指導者協会会員。
目次
〜荒井さんは2009年からボディマッピングとバラトレに取り組んでいただいていますね。
いつも研究熱心で私も刺激をうけます。
ヴァイオリンを始めたきっかけ
〜長いおつきあいになりましたが新ためて、バイオリンを始めた経緯などお伺いしたことがなかったですね。
そう言えばそうですね。6歳の時、偶然、テレビでヴァイオリン演奏を見て興味を持ちました。母に頼んで習わせてもらったことを覚えています。
始めは近所の先生について高校生の頃まで習っていました。厳しくテクニックについて厳しくおっしゃる先生ではなく、絵本を見せて曲のイメージを膨らませるとか、おっとりとした楽しい練習生活でしたね。
中学高校ではオーケストラ部がなかったこともあり、ブラスバンド部に入ってトランペットを吹いていたんですよ。部活の仲間は音大に進んだ人もいたのですが、音楽大学に入ることは考えていなかったので一般大学に進みました。
新交響楽団との出会い
〜大学時代は個人レッスンでヴァイオリンの勉強をしていたのですか?
大学ではオーケストラ部に入部して初めてオーケストラを経験したのです。そこで、もっと上手になりたいと目覚めたんです。先生を変えて専門的に取り組むようになりました。
大学卒業後には、作曲家の故・芥川也寸志氏が創立し斬新的な活動をしていたアマチュアオーケストラにオーディションを経て入団しました。
そこで巡り合った一流のアーティストからたくさんの教えや影響を受けました。さらに、もっと音楽のことについて知りたいと思うようになり、海外の室内楽セミナーなどに積極的に参加しスキルアップしてきました。
現在は室内楽を中心にソロ活動や弦楽四重奏などで演奏活動をしています。
それと並行して高校の弦楽オーケストラ部のトレーナーやヤマハ音楽教室で講師をしています。
「音楽家ならだれでも知っておきたいからだのこと」
〜当方に初めてきてくれた時は10年以上前でしたがどんなきっかけで?
「音楽家ならだれでも知っておきたいからだのこと」という本を手にして興味をもちました。
“ボディマッピング”って何?“自分の身体に沿って演奏する”ってどんなこと?とびっくりしました。
背骨をホウキに見立てたイラストなどはとても印象的でした。
読んで、体験してみたくてすぐ井桁先生にお電話しました!
〜その本はクラシック音楽界で大人気の本で、今も重版を続けているのですよ。
今まで身体について書かれた本は少ないので、衝撃的な本だったと思います。
その当時、師事していた先生はどちらかというと精神主義。
上手くいかないところは「気合」「根性」で練習して解決するという指導方法だったので、身体論的発想はあまりなく、かなり力んで演奏していました。
ボディマッピングしていくと、自分の感じていた身体の大きさや構造と実際の身体とはギャップがあることに気がつきハマっていきましたね。
例えば、ヴァイオリンの左手の形や親指。ヴァイオリンを持つと勝手に親指が反る、力が入って脱力できない。自分の指なのにどうして??
また、“寝ながらヴァイオリンを弾く”というワークをした時、全身が響いていることを体験して、びっくりしました。立って弾いている時に無駄に身体を固めてしまって響かなくしていることにも気がつきました。
うまく弾けない理由が練習量ではなくて、こんなことにあるなんて思っていませんでした。
あがり症
〜ボディマッピングを始めるまでは何か身体のトラブルはあったのですか?
もちろん、肩こり、顎関節炎、偏頭痛。
慢性的になっていたので治すことも諦めていました。それが解消できると思ってもいませんでした。
それ以外に舞台での“あがり症”にも悩んでいましたね。もしかしたらこれが解決できるかも、とは思いました。
ソロパートでppで演奏するときにボーイングが震えてしまったり、緊張で身体が硬くなってしまったり。
〜今までステージであがらない方法はどのようにしていたのですか??
バラトレ を始める以前は、あがった時の対処法ばかりを練習していました。それでなんとか切り抜けていたのですが演奏することに不安がありました。、バラトレ をするようになって、考え方が変わり、音楽の本質に気持ちを向けられるようになり“あがる”ことに気がとられなくなり、身体全体へ意識を持てるようになりました。
身体全体のつながりがわかるようになると、自然と“あがる”ことへの恐怖が減り意識がかわりました。“あがった時の対処練習”から今はやりたい音楽への練習に切り替わりました。
〜素晴らしい!あまり、あがり症がひどくなると人前で演奏したくなりますよね。
ホームページのタイトル通り“思い通りの演奏”が実現できていますね!
練習時間が減った
〜そのほかにどんな効果をかんじていますか?
偏頭痛や肩こりは知らない間になくなっていましたね。
そして以前なら“できそうにない”と諦めてしまいそうな課題も、何が悪いかの問題を発見すればできるようになる、と考えられるようになりました。完璧にできなくても、今はその途中段階であることが判断できてあせらなくなりました。
何より、繰り返し練習をしなくてもできるようになるので、練習時間が減って楽になりましたね〜
ヴァイオリンレッスンに役立てる
〜それは大きなメリットですよね。プロ演奏者だって忙しくて練習時間不足に悩んでいますからね。
そのほかにも、有名ヴァイオリニストのマスタークラスを受講した時でも、先生のおっしゃったことをそのまま鵜呑みにするのではなく、一度、自分の身体の状態やプロポーションに合わせて適応させることができるようになりました。
教える上でもすごく役立っています。
親指は反ってはダメとか、ダメ出しではなく全体を観察して原因を見つけ言葉で生徒さんに理解してもらえるようなレッスンをしていきたいですね。
バラトレは、先生に何度も同じことを注意されるけれど直せない生徒さんや、あがり症で悩んでいる人にお勧めしたいですね。
これからの目標
コロナ禍で、特にお客様と感情を共感することの重要さを感じました。これからも人と音楽の関わりを大切に、全身でヴァイオリンを奏でられる演奏家になりたいですね。
どうもありがとうございました。これからも音楽家として益々のご活躍を楽しみにしております。
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